ここまでのステップで、
- Excelでの集計・可視化(ステップ1)
- SQLでのデータ抽出・集計(ステップ2)
- BI(Tableau)でのダッシュボード作成(ステップ3)
- Python+機械学習の超入門(ステップ4)
と、データ・AI学習の主要な武器をひと通り触ってきました。
ステップ5では、その学びを
「やりました」で終わらせず、人に見せられる“アウトプット(作品)”にする
ことをゴールに、ポートフォリオの作り方を整理していきます。
このステップで目指すゴール
ステップ5のゴール
- 「自分はこういうデータを、こう分析できます」と見せて説明できるアウトプットを1〜3個持つ
- 社内の上司・同僚や、転職時の面接官に、画面を見せながら解説できる状態を作る
- 「勉強しました」ではなく、「これだけは胸を張って見せられる」という実績を1つ以上持つ
転職する/しないに関係なく、ポートフォリオは「スキルの棚卸し」と「自信の源」になるので、20代のうちから1つ作っておく価値は大きいです。
そもそもポートフォリオって何を指すのか
ここでいうポートフォリオは、
「データをこう扱い、こう可視化/予測し、こう解釈しました」という一連の流れがわかる成果物
のことです。
たとえば:
- Tableauダッシュボード+その解説スライド
- PythonのNotebook(分析コード)+結果のグラフ+まとめ
- Excel/SQLで作成したレポート+考察メモ
など、“ストーリーとして語れるアウトプット”なら形式は問いません。
何個ぐらい作ればいい?どのレベルを目指す?
最初のポートフォリオとしては、
- テーマの違うアウトプットを1〜3個 (例:ダッシュボード1つ+Python分析1つ など)
- 1つあたり、5〜10分で説明できるボリューム
を目安にすると、現実的で続けやすいです。
「完璧な1作品」より、“ちゃんと完成している実績”を小さく複数持つほうが、20代の段階では価値が高い
ポートフォリオのネタ(テーマ)の選び方
いきなり「すごいネタ」を探す必要はありません。
むしろ、次のようなものから選ぶほうが現実的です。
① 自分の業務・身の回りのデータ
- 営業成績、問い合わせ件数、店舗別売上 など
- 構造を参考にし、データ自体はダミーで作成する
もし社外へ公表するならば、実データをそのまま使用するのは絶対NGです。
② 公開されているオープンデータ/サンプルデータ
- 政府・自治体の統計データ
- Kaggleなどで公開されているデータセット
- Tableauのスーパーストアなどのサンプル
③ 自分で作るダミーデータ
- 実際の業務をイメージしつつ、Excelで簡易的なダミーデータを作る
大事なのは「どのデータを使ったか」ではなく、「そのデータから何を読み取り、どう伝えたか」
代表的なポートフォリオの型(テンプレ)
ここでは、作りやすい代表例を3つ紹介します。
型1:Tableauダッシュボード作品
想定テーマの例
- 「月次売上を俯瞰し、部門別の変化を追えるダッシュボード」
- 「問い合わせ件数の推移と、チャネル別の構成比を見られるダッシュボード」
構成イメージ
- 全体サマリー
- 売上合計、件数合計、前年同月比 など
- 時系列グラフ(折れ線)
- 月別・週別の推移
- 内訳グラフ(棒/円/ツリーマップ)
- 部門別・商品別・チャネル別
- フィルタ
- 期間・地域・チャネルなど
説明するときのポイント
- 「このダッシュボードで何が分かるか」を一言で言えること
- 使った指標やグラフの種類を選んだ理由を話せること
- ストーリーを持った内容となっていること
型2:Python+pandas+簡単な機械学習のNotebook
想定テーマの例
- 「家賃を決める要因を探る分析」
- 「学習時間や特徴からテスト結果を予測してみる」
Notebookの章立てテンプレ
- データ読み込み
- データ概要の確認(件数・欠損・基本統計量)
- 簡単な可視化(分布・相関)
- 特徴量の選定
- モデルの学習(回帰 or 分類)
- 性能評価(RMSE・正解率など)
- まとめ(何が分かったか/限界は何か)
説明するときのポイント
- 「どんな仮説を立てて、どんな特徴量を使ったか」
- 「結果から何が言えそうで、どこからは言い過ぎになりそうか」
型3:Excel+SQLレポート
想定テーマの例
- 「顧客ごとの売上とトレンドを分析したレポート」
- 「サイトのアクセスログを日別・ページ別に整理したレポート」
構成イメージ
- SQLクエリ(データ抽出のロジック)
- Excelでの集計・グラフ
- 1〜2枚のスライド(結論と示唆をまとめる)
説明するときのポイント
- なぜその集計・切り口にしたのか
- 上司に説明するとき、どんな順番で話すか
ポートフォリオの題材にできる社内チャレンジ例をまとめています。
→ 今の会社でできる小さなデータ活用チャレンジ12選(実務経験の不安を減らす)
ポートフォリオ作成のステップ(5ステップ)
ここからは、実際に1作品を作るときの流れを具体的にまとめます。
ステップ1:テーマを決める
- 「何を明らかにしたいのか?」を一文で書き出す 例)
- 「部門別の売上傾向を可視化して、どこに注力すべきか整理する」
- 「どんな要因で解約が起きていそうか、仮説レベルで探る」
テーマ設定が一番大事です。
- 現状どんな課題があるのか
- 課題に対してどのようにデータを使い分析をすれば解決するのか
の仮設立てをまず行ってください。
実務では分析の手段に目がいき、当初のテーマを忘れてしまうことで、最終的に想定とは異なる分析結果となることが多々あります。
テーマが明確だと、ポートフォリオ作成中に迷わずに進めることができます。
ステップ2:データを準備する
- 使用するデータを決める(オープンデータ/ダミーデータなど)
- 必要に応じて、匿名化・マスキングを行う
- 分析しやすい形(行:明細、列:項目)に整形する
ステップ3:分析・可視化/モデルづくり
- Excel/SQL/BI/Pythonなど、得意な武器を組み合わせる
- 「全部入り」にするのではなく、1〜2種類のツールに絞って深く見せるのもアリです。
ステップ4:ストーリーを文章にする
- 次のような項目をA4一枚くらいにまとめる
- テーマ・目的
- 使用したデータと期間
- 行った分析・処理の概要
- 分かったこと・示唆
- 想定している活用シーン
ステップ5:見せ方を整える
- タイトル・サマリースライド/説明用ノートなどを整える
- 相手に見せるときの「話す順番」を決める
- ①目的 → ②結論 → ③根拠のグラフ/モデル → ④次のアクション案
ポートフォリオをどこに置くか(公開場所の候補)
- 自分のブログ → ポートフォリオ紹介記事として掲載
- GitHub → Notebookやコードを置くのに相性が良い
- Notion・個人サイト → 情報をまとめた「ポートフォリオページ」を作る
完全な「公開」が難しい場合は、「面談や面接のときだけ見せるノートPC内のファイル」で問題ありません。重要なのは、「見せられる形でまとまっているか」です。
注意点
1. 実データの取り扱い
- 可能な限り使用しない
- 社外持ち出し禁止のデータは、構造を参考にしてダミーデータを作る
2. 守秘義務に注意
- 社内プロジェクトの内容をそのまま書くのはNG
- 「ざっくりした課題」にとどめ、個別企業や現在の業界が特定されないようにする
3. 完璧を目指しすぎない
- 「論文レベル」「プロダクトレベル」を目指す必要はありません
- ステップ5では、“20代の今の自分なりにちゃんと考え抜いたアウトプット” を出せていれば十分です。
よくある悩みと考え方
Q. テーマが平凡すぎて不安
A. むしろ、平凡なテーマほど「実務に近い」ことが多いです。
大事なのは、テーマの珍しさよりも、
- 仮説の立て方
- データの扱い方
- 可視化の工夫
- そこからの示唆の出し方
といった プロセスと説明力 です。
Q. まだスキルが足りていない気がして出すのが怖い
A. 「スキルが十分になったらポートフォリオを作る」ではなく、
「ポートフォリオを作るプロセスの中で、弱点と次の学習テーマが見えてくる」
と捉えるのがおすすめです。
最初の1本は、“今の自分のスナップショット”として出してしまいましょう。
Q. 知らないスキルがあってポートフォリオの作成が難しい
A. 実務でも知らないスキルがあるのは当たり前です。調べながら自身のスキルとして新たに取得していきます。
「新たなスキルを身につけるチャンス」
と思って最後までやり切ってみてください。
次のステップ:キャリアアクションへつなげる
ポートフォリオが1〜3本できてくると、いよいよ ステップ6:キャリアアクション の出番です。
- 社内で小さな分析プロジェクトを提案してみる
- 上司との1on1で、ポートフォリオを見せながら今後のキャリアを相談する
- 転職エージェントや求人サイトに登録し、情報収集を始める
といったアクションに、自信を持って踏み出せるようになります。
データ・AI学習の全体の流れ(ステップ0〜6)をまだ読んでいない方は、先にこちらの記事から全体像を確認してみてください。
→ 社会人のデータ分析ロードマップ|Excel→SQL→BI→Pythonで半年〜1年の全体像
ステップ1〜4の詳しい学習内容については、以下の記事でそれぞれ解説しています。
→ 【ステップ1】Excel基礎|関数・ピボットで“数字に強い人”になる(初心者向け)
→ 【ステップ2】SQL入門|SELECT〜JOIN〜集計で“データを取りに行ける人”になる
→ 【ステップ3】Tableau入門|ダッシュボードの作り方と基本手順(初心者向け)
→ 【ステップ4】Python×機械学習超入門|データ分析→簡単なモデルまで(初心者向け)

ステップ5は、「学んだことを形にする」フェーズです。
完璧を目指すのではなく、まずは“今の自分なりのベスト”を1つの作品として外に出してみましょう。
そこから先のキャリアアクションが、ぐっと現実味を帯びてきます。




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