Tableauで前年比・前月比がおかしいときの原因6つと確認手順|表計算・フィルター・抜けた月

Tableauの前年比・前月比がおかしいときに、表計算のやり方・フィルター・元データと日付の3か所を順に確かめる流れを表したイメージ 実務で使うデータ・AIスキル
前年比がおかしいときの6か所 補足: 表計算のやり方から順に確かめる

Tableauで前年比を出したら、前月比のような数字になった。年のフィルターで今年に絞ると、前年比が空白になる。一部の月だけ、前年比が大きくずれる。

前年比・前月比がおかしいときに最初に確認したいのは、表計算の「次を使用して計算」と「比較対象」です。

この記事でわかること

  • Tableauの前年比・前月比がおかしくなる6つの原因
  • 起きている問題から原因をしぼる確認の順番
  • 確認の順番を決めると業務の何が良くなるか

結論:表計算のやり方→フィルター→元データと日付の順に確かめる

Tableauの前年比・前月比は、表計算のやり方→フィルター→元データと日付の順に確かめると、原因をしぼれます。

前年比・前月比は、ふつう表計算で出します。表計算は、ビュー(シートに作った表やグラフ)に並んだ値どうしで計算する機能です。前年比なら、ビューにある前年の値と今年の値を比べます。

おかしいときに見る場所は、次の3つです。

  • 表計算のやり方:計算の方向・比較対象・空白の扱い
  • フィルター:前の期間が消えていないか
  • 元データと日付:抜けた月・年度の区切り

どこでずれても、エラーは出ません。それらしい割合が出るので、見ただけでは気づきにくいずれです。

自分は、表計算を作るために、いろいろなボタンを試して押したことがあります。そのせいで、最終的に目的の表計算にたどり着いても、数字が合わないことがありました。

ボタンは、Tableau Desktopで表計算をするときにクリックするボタンのことです。右クリックで出るメニューも、ボタンに含みます。

まずここから確認:起きている問題から、6つの原因をしぼる

起きている問題を見れば、6つの原因のうち最初に疑うものが決まります。

起きている問題疑う原因最初に見る場所
前年比が前月比のようになる1. 計算の方向次を使用して計算
比べる相手がずれている2. 比較対象・ずらす数比較対象・LOOKUP関数の数
最初の期間が0.0%になる3. 空白の扱い式のZN関数(空白を0にする)
年で絞ると前年比が空白4. フィルターフィルター シェルフ
一部の月だけ大きくずれる5. 抜けた月欠落した値を表示
4月始まりの年度と合わない6. 年度の区切り会計年度の開始

この表は、1〜3が表計算のやり方、4がフィルター、5と6が元データと日付の確認です。

どれに当てはまるか分からないときも、表の上から順に見ます。1〜3は、表計算の設定と式を開くだけで確かめられます。

原因と直し方:表計算のやり方・フィルター・元データと日付の6つ

6つの原因は、どれも直す場所が決まっています。表計算のやり方・フィルター・元データと日付の順に見ていきます。

以下の例は、説明のための架空の店舗の月別売上です(単位は万円)。

原因1:計算の方向が違い、前年比のつもりが前月比になっている

問題と原因:表計算は、「次を使用して計算」で決めた方向に沿って値を比べます。同じ計算でも、方向が変わると比べる相手が変わります。

架空の例で、列に年、行に月を置いた表を見てみます。

月2025年2026年
7月320400
8月500500
9月375450

この表の売上に、簡易表計算の「差の割合」を設定します。簡易表計算は、売上を右クリックして選べる、よく使う表計算です。2026年の列の結果を、方向ごとに並べると次のとおりです。

2026年の月表 (横) で計算表 (下) で計算
7月+25.0%空白
8月0.0%+25.0%
9月+20.0%-10.0%

表 (横) は前年の同じ月と比べた前年比で、表 (下) は同じ年の前の月と比べた前月比です。

確認方法:ビューに置いたメジャー(売上など数値のフィールド)を右クリックし、「表計算の編集」を開きます。「次を使用して計算」で、どの方向が選ばれているかを見ます。

どう直すか:前年比なら、年が並んでいる方向を選びます(この例では表 (横))。方向が分かりにくいときは、「特定のディメンション」で年だけにチェックを入れる方法もあります。ディメンションは、年や店舗のように分ける軸になるフィールドです。

原因2:比較対象やLOOKUPのずらす数が、比べたい期間と合っていない

問題と原因:「差」「差の割合」の「比較対象」には、前・次・最初・最後があります。既定は「前」です。「最初」になっていると、どの月も期間の最初の値と比べます。

計算フィールドで作るときは、LOOKUP関数のずらす数で比べる相手が決まります。LOOKUPは、今の行から指定した数だけずらした行の値を返す関数です。

(SUM([売上]) - LOOKUP(SUM([売上]), -1))
/ LOOKUP(SUM([売上]), -1)

-1なら1つ前、1なら1つ後ろの値を取ります。ずらした先の行がないときは、NULL(値なし)になります。

確認方法:簡易表計算なら、「表計算の編集」で比較対象を見ます。計算フィールドなら、LOOKUPの数の符号と大きさを見ます。計算フィールドの表計算にも「次を使用して計算」があるので、原因1も確かめます。

どう直すか:前の期間と比べるなら、比較対象は「前」、LOOKUPは-1にします。月が横に1列に並ぶビューで前年同月と比べるなら、-12です。ただし-12が前年同月になるのは、月が1つも抜けていないときだけです(原因5)。

原因3:最初の期間の空白を、0で埋めている

問題と原因:ビューの最初の年(月)には、比べる前の期間がありません。そのため、前年比は空白になります。

この空白をZN関数で0にすると、「比べられない」が「変化なし(0.0%)」に見えます。ZN関数は、値がNULLなら0を返す関数です。

確認方法:最初の期間に0.0%が出ていたら、前年比の計算フィールドにZNが入っていないかを見ます。

どう直すか:比べられない期間は、空白のままにします。空白の列が気になるなら、最初の年を非表示にします。非表示のやり方と、フィルターとの違いは原因4で書きます。

原因4:フィルターで、前年・前月の値が消えている

問題と原因:年のフィルターで2026年だけに絞ると、前年比が空白になります。Tableauは、ディメンションのフィルターをかけた後に表計算をするからです。前年の値は、表計算が見る前にビューから消えています。

データ ソース フィルター(データ ソースの画面で、取り込むデータを絞る設定)も、表計算より先にかかります。

確認方法:フィルター シェルフ(ビューの左にある、フィルターを置く場所)に、年や月で絞るフィルターがないかを見ます。データ ソース フィルターで、期間を絞っていないかも見ます。

どう直すか:前年をビューに残したまま、表示だけを消します。前年の列の見出し(ヘッダー)を右クリックし、「非表示」を選びます。フィルターと違い、非表示なら計算はそのまま残ります。

フィルターがどこから効いているかの探し方は、次の記事にまとめています。

原因5:抜けた月があり、前々月と比べている

問題と原因:売上がなかった月や、取り込みが漏れた月は、ビューに並びません。表計算の「前」は、ビューに並んだ1つ前の値です。そのため8月が抜けていると、9月が7月と比べられることがあります。

確認方法:日付の見出しを右クリックし、「欠落した値を表示」を選びます。データのない月が見出しに出てくれば、その月が抜けています。

どう直すか:取り込み漏れなら、元データを直します。本当に売上がなかった月なら、全部の月を持つ表を用意して結合し、月の行を作ります。

行がない月を、確かめずに0で埋めない。取り込み漏れの月を0にすると、売上が落ちたように見えます。

抜けた日付を、全期間の表で埋める考え方は、次の記事で扱っています。

原因6:年度の区切りが、比べたい資料と違う

問題と原因:Tableauの「年」は、設定を変えていなければ1月〜12月で区切られます。比べたい資料(前月の会議資料や、ほかの人が作った月次報告など)が4月始まりの年度なら、比べる期間がずれます。

確認方法:データ ペインは、画面左のフィールドが並ぶ場所です。データ ペインでデータ ソースを右クリックし、「日付のプロパティ」で「会計年度の開始」を見ます。日付のフィールドごとに、「既定のプロパティ」から設定している場合もあります。

どう直すか:「会計年度の開始」を、資料と同じ月にします。年と四半期は年度で区切られるようになりますが、月の値は変わりません。データ ソースの種類によっては、この設定が出ないことがあります。

現場目線の注意点:前年比のシートに、計算の方向を書き残す

前年比のシートに計算の方向と比較対象を書き残すと、次に開いた人が同じ確認を一からせずに済みます。

表計算の設定を、見えないままにしない。方向や比較対象は、「表計算の編集」を開くまで見えません。ほかの人が行と列を入れ替えると、比べる相手が変わることがあります。

シートのタイトルやキャプション(シートの下に出せる説明文)に、「表 (横)・前年の同じ月と比較」のように書いておきます。

前年比だけを見て報告しない。前年比の割合が正しくても、元の売上がずれていれば結論も変わります。前年比の横に、今年と前年の売上を並べておくと、割り算の元が見えます。

それでも合わないとき:割合の形と、元の売上を確かめる

6つを確かめても合わないなら、前年比の計算ではなく、比べたい資料の条件か元の売上がずれている可能性があります。

比べたい資料と、次の3点をそろえます。

  1. 割合の形:+25%(増減)か、125%(比率)か
  2. 対象:キャンセル・返品を含むか
  3. 期間:どの日付(注文日・出荷日など)で月を区切っているか

「差の割合」は、増減を割合で表します。400から500なら+25%です。資料が125%の形なら、計算フィールドで今年÷前年を作ります。

元の売上そのものが合わないときは、集計方法・結合・フィルターの順に確かめます。探し方は、次の記事にまとめています。

業務への着地:確認の順番を決めると、設定を試し直す時間が減る

確認の順番を決めておくと、前年比がおかしいたびに設定を試し直す時間と、前年の数字を探して照合する時間が減ります。

架空の例で、Before/Afterを比べると次のとおりです。

場面BeforeAfter
おかしいとき思いつく設定から試す表の順に6か所を見る
次に開く人設定を一から確かめる書き残した方向を見る

この表では、確認の順番と書き残しによって、同じ確認を繰り返さなくなっています。

良くなるのは、確認の速さだけではありません。会議で使う前に、比べる相手の取り違えに気づけます。前月比を前年比として報告し、売上の伸びを読み違えることを防げます。

Tableauという名前が、絵画という意味を表しているところが好きです。

まとめ

Tableauで前年比・前月比がおかしいときは、表計算のやり方(1〜3)→フィルター(4)→元データと日付(5・6)の順に確認します。

  1. 「次を使用して計算」が、比べたい方向になっているか
  2. 比較対象やLOOKUPのずらす数が、比べたい期間と合っているか
  3. 最初の期間の空白を、0で埋めていないか
  4. フィルターで、前年・前月の値が消えていないか
  5. 抜けた月がないか
  6. 年度の区切りが、比べたい資料と同じか

それでも合わないときは、割合の形・対象・期間と、元の売上を確かめます。

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