生成AIに入力してよい情報の決め方|業務の情報を3つに分けて、入力前に確かめる

業務の情報を「そのまま入力してよい・加工すれば入力してよい・入力しない」の3つに分けてから、生成AIに入力する流れを表したイメージ AI活用
生成AIに入れてよい情報の決め方 補足: そのまま・加工して・入れない、の3つに分ける

生成AIに会議メモを要約してもらいたい。でも、社内の話をそのまま貼ってよいのか分からない。お客様の名前が入った問い合わせ文や、売上の表はどうなのか。

最初に確かめたいのは、会社のルールで、使ってよいサービスと入力してよい情報が決まっているかです。そのうえで業務の情報を3つに分けておくと、入力のたびに迷わずに済みます。

この記事でわかること

  • 入力した内容の扱いが、サービスと契約で変わること
  • 業務の情報を3つに分ける基準と、加工のしかた
  • 一覧にしておくと、入力のたびに迷わずに済むこと

結論:業務の情報を「そのまま入力してよい・加工すれば入力してよい・入力しない」に分ける

生成AIに入力してよい情報は、社内ルールを土台にして、業務の情報を3つに分けて決めます。

この記事でいう社内ルールは、会社の生成AIの利用ガイドラインや、情報の取り扱いの規程のことです。

3つの分け方は次のとおりです。

  1. そのまま入力してよい:外に出ても困らない情報
  2. 加工すれば入力してよい:一部を置き換えれば使える情報
  3. 入力しない:加工しても外に出せない情報

この分け方は、会社が業務で使ってよいと決めたサービスで使う前提です。決まっていないサービスを使いたいときは、先に上司や情報システムの担当に確かめます。

分けた結果は一覧にして、チームで共有します。人によって判断が変わらなくなるのが、一覧にする一番の理由です。

入力した内容の扱い:同じ会社のサービスでも、個人向けと法人向けで違う

入力した内容がAIの学習に使われるかは、サービスの名前ではなく、個人向けか法人向けかの契約と設定で決まります。

学習は、入力した内容をAIの性能の改善に使うことです。主なサービスの扱いは、2026年10月11日時点で次のとおりです。細かな条件はプランや設定で変わるため、使う前に各社の説明で確かめてください。

サービスと契約入力を学習に使うか確かめる場所
ChatGPT(個人向け)既定では使われうる設定(オフにできる)
ChatGPT(Business・Enterprise など)既定では使わない会社の契約
Claude(個人向け)利用者が許可した場合などに使うプライバシー設定
Claude(法人向け・API)既定では使わない会社の契約
Gemini アプリ(個人のアカウント)設定により改善に使われ、人が読むことがあるアクティビティの保存の設定
Microsoft 365 Copilot(職場の契約)基盤のモデルの学習には使わない会社の契約

この表では、同じ会社のサービスでも、個人向けと法人向けで入力した内容の扱いが分かれています。

ただし、学習に使われないことと、何を入力してもよいことは別です。学習に使わない契約でも、入力した内容はサービスの会社に送られ、保存されることがあります。入力してよい範囲は、社内ルールで決まります。

学習をオフにしていても、回答に良い・悪いの評価を送ると、その会話が改善に使われることがあるサービスもあります。業務の会話では、評価ボタンの扱いも社内ルールに合わせます。

サービスの名前や条件は、更新されることがあります。使い始める前と、規約の変更の案内が来たときに確かめ直してください。

3つに分ける基準:困るのが「一部」か「中身そのもの」か

外に出たときに困るのが名前や金額など一部だけなら「加工すれば入力してよい」、中身そのものなら「入力しない」です。

判断は、次の順に質問すると決まります。

  1. 公開済み、または外に出ても誰も困らないか
  2. 困るのは、名前・連絡先・社名・金額など一部だけか
  3. 情報の中身そのものが、外に出せないものか

1が「はい」なら、そのまま入力してよい情報です。2が「はい」なら、その部分を置き換えれば入力してよい情報になります。3が「はい」なら、入力しません。

2と3の両方に当てはまるとき(未発表の計画が入った会議メモなど)は、3を優先して入力しません。

業務でよく出てくる情報を、この基準で分けると次のようになります。社内ルールに別の決まりがあれば、そちらに従います。

業務の情報の例分け方理由
公開済みのお知らせやWebサイトの文章そのまま入力してよいすでに外に出ている
データを含まない、関数やSQLの書き方の質問そのまま入力してよい社内の情報を含まない
お客様の名前・連絡先が入った問い合わせ文加工すれば入力してよい名前と連絡先を消せば、用件は使える
売上などの実データの表加工すれば入力してよい列の名前と形だけで、集計の式は作れる
社内会議のメモ加工すれば入力してよい人名・社名を置き換えれば、話の中身は使える
パスワード・APIキー入力しない加工すると意味がなくなる
未発表の決算・人事・新商品の情報入力しない中身そのものが外に出せない
契約で外部に出せないと決まっている資料入力しない契約で決まっている
健康状態など、特に配慮が必要な個人の情報入力しない漏れたときの影響が大きい

この表では、同じ社内の情報でも、困るのが一部か中身そのものかで分け方が変わっています。

SQLは、データベースからデータを取り出すための言語です。APIキーは、システムどうしをつなぐときに使う、パスワードのような文字列です。

「加工すれば入力してよい」は、誰のことか分からない形にしてから入力するという意味です。お客様の名前や連絡先が入ったまま入力してよいという意味ではありません。

自分も、個人情報は絶対に入れないようにしています。情報漏洩のリスクが高いからです。

入力前の手順:社内ルールを確かめ、業務の情報を一覧にする

入力してよい情報の一覧を一度作っておくと、入力のたびに迷わずに済みます。

1. 社内ルールと、使うサービスの契約を確かめる

社内ルールは、社内のポータルなどで「生成AI」や「情報セキュリティ」と検索すると見つかることがあります。社内ルールで、次の3つを確かめます。

  • 業務で使ってよいサービスはどれか
  • 入力してよい情報の範囲はどこまでか
  • 迷ったときの相談先は誰か

あわせて、使うサービスが個人向けか法人向け(会社の契約)か、学習の設定がどうなっているかも見ておきます。

社内ルールが見つからないときや、会社の契約かどうか分からないときは、上司や情報システムの担当に聞きます。ルールがないことは、何を入れてもよいという意味ではありません。

自分は、入れてよいか迷う情報があったときは、社内の規程や資料を調べるか、詳しい身近な人に聞いていました。

名前や連絡先を消さずに、個人情報のまま入力したいときは、自分だけで決めないでください。個人情報保護委員会は2023年6月に、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。

その中で、会社が個人情報を入力するときは、利用目的の範囲内かを十分に確かめるよう求めています。本人の同意を得ずに入力する場合は、サービスの会社が機械学習に使わないことなどの確認も求めています。

法律と社内の規程が関わるため、判断は相談先と一緒に行います。

2. 業務で入力したい情報を書き出す

生成AIに任せたい作業ごとに、入力したい情報を書き出します。「会議メモの要約なら、会議メモ」「問い合わせへの返信の下書きなら、問い合わせ文」のように、作業と情報を1行ずつ並べます。

生成AIに任せる作業の選び方は、次の記事で整理しています。

3. 3つに分けて、一覧にする

書き出した情報を、「3つに分ける基準」の3つの質問で分けます。一覧には「情報」「分け方」「加工のしかた」の3つを書きます。その節の表の「理由」を「加工のしかた」に変えた形です。

迷う情報は、自分で決めずに相談先に聞きます。答えが出たら一覧に足すと、次に同じ情報で迷う人がいなくなります。

4. 加工のしかたを決めて、頼み方のメモに書く

「加工すれば入力してよい」情報は、置き換え方を決めておきます。以下は架空の例です。

  • 人の名前 → 「担当者A」「お客様B」
  • 会社名・取引先名 → 「取引先C」
  • 金額 → 架空の数字(桁だけそろえる)
  • 実データの表 → 列の名前と、架空の数行

社内ルールで実データを入れてよいサービスなら、個人情報を消せば足りることもあります。

自分は、実際のデータを渡すときは、個人情報を削除するかマスキングしたうえで渡します。マスキングは、名前などを記号に置き換えて隠すことです。

データの中身の情報が不要な場合は、カラム名だけを渡します。カラム名は、この記事でいう列の名前のことです。

加工は、生成AIを使わずに手元で行います。加工のためにそのまま貼ってしまっては、意味がないためです。Excelやメモ帳の置換の機能で十分です。

SQLを書いてもらうときに、実データを入れずに列の名前などの定義だけで頼む方法は、次の記事で書いています。

決めた加工のしかたは、頼み方のメモ(生成AIへの頼み方を書きためたメモ)に書いておきます。次からは、メモどおりに加工してから貼るだけになります。

現場目線の注意点:名前を消しても、組み合わせると誰の話か分かることがある

名前を消しても、部署・時期・金額が残っていると、社内の人には誰の話か分かることがあります。

名前を消しただけで「加工済み」にしない。 たとえば架空の例で、「営業2課で先月入社した人の評価」と書けば、名前がなくても社内では特定できます。部署や時期も、必要がなければ外します。

ファイルをそのまま添付しない。 Excelのファイルには、画面で見えていない別のシートや、非表示にした列も含まれます。渡すのは、加工した範囲だけをコピーした表にします。

間違えて入力したら、会話を消して終わりにしない。 消しても、サービス側に記録が残ることがあります。すぐに相談先へ伝えます。伝えるのが早いほど、取れる手が増えます。

どれも、見落とすと情報の扱いの問題になります。問題が起きると、チーム全体で生成AIの利用が止まり、進めていた改善も後戻りすることがあります。

業務への着地:一覧があると、入力のたびに迷わず、チームの判断がそろう

入力してよい情報の一覧があると、使うたびに迷う時間がなくなり、チームの中で判断がそろいます。

一覧がないと、判断は人それぞれになります。入れすぎる人と、怖くて使わない人に分かれます。前者は情報の扱いの問題を起こしやすく、後者は生成AIで減らせたはずの作業を手で続けます。

架空の例で、Before/Afterを比べると次のとおりです。

場面BeforeAfter
入力する前そのつど自分で判断する一覧で分け方を見る
名前が入った問い合わせ文貼るか迷い、使うのをやめる名前を置き換えてから入力する
チームの中人によって入れる情報が違う同じ一覧で判断がそろう
迷う情報自分だけで決める相談先に聞き、一覧に足す

この表では、判断を一覧に移したことで、迷う時間と人による違いが減っています。

良くなるのは、安全さだけではありません。迷わず使えるようになると、下書きや要約など、生成AIに任せられる作業を落ち着いて増やせます。

生成AIは自分のパートナーと思って、普段から使っています。

まとめ

生成AIに業務の情報を入力する前の流れは、次の5つです。

  1. 社内ルールで、使ってよいサービスと入力してよい範囲
  2. 使うサービスが個人向けか法人向けか、学習の設定
  3. 情報が「そのまま入力してよい・加工すれば入力してよい・入力しない」のどれか
  4. 加工は手元で行い、名前・社名・金額を置き換え、部署や時期は外す
  5. 迷う情報は相談先に聞き、一覧に足す

サービスの扱いは2026年10月11日時点の内容です。使い始める前と規約の変更の案内が来たときに、使うサービスの公式の説明で確かめ直してください。

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参考

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